「プロモ未来ラボ」研究員ブログ
「プロモ未来ラボ」では、所属研究員たちが「気になる」・「知りたい」・
「注目している」ことを自ら取材・体験し、レポートしていきます。
紅花(べにばな)を使って作られる特別な色
2019年6月17日
先日、山形県の米沢市、長井市、白鷹町に伝わる「置賜紬」を中心に集めた展示即売会がありました。着物だけではなく、置賜紬に関する歴史や製作工程などについての説明があった中で、私が特に気になったのが『紅花染』です。紅花は化学染料が普及する以前、天然染料の中でも特に貴重な赤の染料として重宝されたもの。約200年前、財政難に陥っていた米沢藩が藩再興のために力を入れた産業でもあります。
「紅花染は綿とか絹とか、染める糸や布の素材によって色の染まり方が違うんです。紅花には黄色の色素が入っているので、素材によっては黄色味が強く出てしまうものもある。その調整が難しいところですね」
そう紅花染の職人さんは説明します。また、実際に布を染めるところを見せながら、紅花を染料に加工する工程や、紅花染の盛衰の歴史、そして色褪せしやすい紅花染を色持ちするように改良を続けたことなど教えてくださいました。また、他の職人さんは、
「染色は冬の作業になります。水温や気温、手の温度ですら、発色に影響してしまうんですね。もちろん、他の季節でもやろうと思えばできます。ですが、やはり冬が一番きれいに染まるんです」
と、教えてくださいました。だからこそ、紅花染は発色こそが魅力と一言。
「赤系の色の着物は、若い時に着られても、年を重ねると派手で着られなくなってくるものが多いんです。ですが紅花染の赤は違います。着れば着るほど、着ている人に馴染むように色が微妙に変化する。だからこそ年齢を超えて長く着ることができます。そこが紅花染の素晴らしさでしょうか」
この言葉を聞いて、私は、伝統や文化の継承以上に大切にしているものがあるとわかりました。何十年と続く人生に寄り添い、彩を与えるものだからこそ、気概を持ってつくり続けることができるのだと感じました。残念ながら、今の私にはお値段的にも手を出せるものではなかったのですが、いつか着てみたい着物のひとつとなりました。
「プロモ未来ラボ」研究員:ひらりー